2015年1月26日

明日香、ふつうのくらし。 ~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~





「古代文化の香り豊かな明日香の郷」

「日本のはじまり」

「悠久ロマンあふれる飛鳥」

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壮大な代名詞がいくつもならぶ明日香村。でもその間にも村のひとは「ふつうの暮らし」を営み、現代を生きている。
電車や車に乗って会社へ行く。畑で野菜を作り出荷する。村のバスに乗り遅れないようにして学校へ通う。スーパーに買い物へ行き、夕飯の献立を考える。夫婦でお茶を飲みながらテレビでスポーツを見る。公民館のサークル活動に毎週通い、友達とおしゃべりを楽しむ。


そんな村の日常に触れさせてもらえる機会を飛鳥アートヴィレッジ参加アーティストの私達は与えてもらった。


「明日香村民泊体験」。
飛鳥アートヴィレッジの1月21日のプログラムだ。

この企画は飛鳥ニューツーリズム協議会が主催の、 '暮らすように旅する飛鳥' というキャッチコピーで体験交流プログラムと民家ステイを推進していく事業で、実際には修学旅行の学生や海外からの旅行者などを多く受け入れているそうだ。



お昼すぎに参加アーティスト5人と受け入れ先の村民の方々が集まり、入村式。
私は阿部山に住む田中さんのお宅に泊めさせていただくことになった。優しそうな奥様が迎えに来てくださり車でご自宅へ。

ちなみに阿部山はキトラ古墳の近くにある。周辺の集落には「栗原」という地名があることをチェックしていた私、栗原に寄り道してもらいバス停にて記念撮影☆

「栗原」参上! じっさいには「くりわら」と読むらしい。




民泊に登録している家庭は農家さんが結構いるらしいけど田中さんご夫婦はともに元教員で、同じく教員をされている娘さんご家族との二世帯同居というお勤め人のご家庭。へっぴり腰で農業のお手伝いをする覚悟を決めてた私、ちょっぴりホッとした(笑)


でも明日香村で暮らす人は専業農家でなくとも家の畑で野菜を育てたり、高齢化がすすみ管理しきれない田畑を集落の人が協力して農作業をしたりと、食べるものを自分達でつくることが当たり前の習慣になっている。

私も家の畑で大根や白菜を食べる分だけ取らせてもらった。
もちろん新鮮で美味しい!


ワンちゃんのお散歩を兼ねて氏神様にお詣りした後は晩御飯の支度の手伝いをさせていただいた。これならわたしがいつもやっていることとあまり変わらないので、少しはお役に立てそう。。
今晩は息子さんお手製のギョーザ。小学校の後の習い事から帰宅したお孫さんも加わり、和気あいあいのキッチン。
みなさんに私の作品ファイルをみてもらったり、遅くに帰宅されたご主人から飛鳥の歴史のお話を聞いたりと、明るく楽しい時間が過ぎていった。


阿部山集落の氏神様、天満宮。
住人のお当番制で神社を守っているそうだ。

田中さんの奥様と愛犬のクック。
私、大きな犬のお散歩は初体験でした。



可愛い姉妹・やさしいパパとともにギョーザ作り。
「明日香村ギョーザ店」の壮大な計画が建てられた。
えーと、、「キトラ古墳ギョーザ」と「石舞台ギョーザ」がこの中にあります(笑)



そして、当たり前の生活もそこにはある。

娘さんが仕事から帰宅して、ほっとした顔で飲むビール。小学5年生のゆいちゃんがスキー合宿に行くのでお弁当や持ち物の確認。瞳をキラキラさせながら「明日香村の未来のがっこう」の話をする小2のなぎちゃん、早く寝なさいとたしなめられながら2階へママと上がっていく。
次の日は木曜日。息子さんは朝日が昇らないうちに会社へ出かけ、みんな随時朝食をとりながらあわただしく出かけていく。いつもと変わらない朝の風景だろう。



”埋蔵文化の村 明日香”。 しかし紡ぐ日々はどんどん上へ積み重なる。
子供たちは親や祖父母、先生から古代の飛鳥の歴史を教わり、それでも視線はまっすぐ未来へ向かっている。

かつての京は今や過疎化と高齢化が進んでおおきな課題となっている。
しかし村の観光化には賛否両論あり、氾濫した川の護岸工事をするだけで歴史ファンから投書が来るという。インフラの整備と古代ロマンをキープすることのせめぎ合い。



滞在中に村民の方達の生活を垣間見られたことで、考えていた自分の作品プランの背中をぐっと押してもらった気がする。
のこり数日。もう少し明日香の風景を見ていたい気がする。
















☆飛鳥アートヴィレッジ概要はコチラ→http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2014/index.html

☆滞在中のレポートはこのブログです。
その他の栗原亜也子のつぶやきは「kinkyo」blogにて。http://blog.livedoor.jp/

☆栗原亜也子web site→http://ayako-kurihara.tumblr.com