2015年1月23日

流れる日々、埋もれる時間と積み重なる時間。~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~




気がつけば明日香村滞在が今日で7日目!


結構濃密なスケジュールをこなしているけれど、どれも自分にきちんと響いていると思う。
普段子育てや撮影仕事と並行して作品制作をしている私にとって、この10日間は制作に深く没頭し、自分と対峙できる貴重な時間なのだ。





火曜日。
午前中は明日香幼稚園の園児たちと制作交流。可愛い子供達から歌の歓迎を受けた。
しかしこちらから教えることなど何もない。私たちは彼らのパワーに圧倒され、気づけばひたすら工作やお絵描きに夢中になっていた自分の子供時代に戻ってしまっているだけだった。



午後は明日香村で制作を続けておられる陶芸家の脇田宗孝先生の自宅アトリエを訪問、工芸における紋様や素材やその役割が歴史と密接に結びついていることを丁寧に教えていただいた。
「地に足をつける」という表現が脇田先生のたたずまいにぴったりとはまる。
私も自分のこれからを考えなくてはいけない。もうそういう年齢だった!



脇田宗孝先生のアトリエ。
明日香村を眼下に見下ろすことができる。いいところだなあ。

脇田先生。
学生時代ラグビーをやっていたそうで、ラグビーボール型の陶器がお庭においてあった!

3人でパスをしているこのボールはふつうのラグビーボールです。

黒陶釜の脇に積まれた古タイヤ。
これを窯に投げ入れて、やきものの黒色を出すとおっしゃっていた。









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水曜日は高松塚古墳の壁画修理作業室を見学した。
年に2回一般の人に向けて見学の機会を設けているそうで、国の文化財保護のための莫大な予算が私たちの税金でまかなわれていることの「重み」が、古墳から解体して取り出した石壁の重さと同等に感じられ、なぜか少し切ないような気持ちにさせられた。



この高松塚古墳にすぐ隣接している国営飛鳥歴史公園で私達は屋外展示を行うことがきまっている。




脇田先生のお話のなかでさらりと出た、「明日香は埋蔵文化の村だから」という言葉がアタマを離れない。

埋まっているモノが日本の歴史上ハンパなく重要すぎるこの村は、表層にでている「現在」をどう表していくのだろうか。
今わたしたちが、そして明日香の子供たちが築いているふつうの暮らしだっていずれ過去を知る貴重な情報となる。


「なんでもない風景」のなかに詰まっている”何か”を気にしながら、この地にもう少し滞在してみようと思う。





犬飼孝記念館のまえでまったりする。参加アーティスト達