2015年1月26日

生活と制作@明日香  ~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~




1月26日。今日で明日香村でのレジデンスは終了。
10日間という短い滞在だったのにすっかりのんびりモードになってしまった。




低い山々を遠くに、たなびく野焼きの煙をながめたり、

山田寺跡のだだっぴろい空間で口を半開きにしたままつっ立っていたり、

朝早い散歩の蝋梅のあまい香りにうっとりとしたり、




そんな生活から果たして急にヨコハマの喧騒に戻ることができるのだろうか・・と不安になっている。



飛鳥アートビレッジのレジデンスは飛鳥寺研修会館が拠点で、参加アーティスト5人とコーディネーターの山中さんとで計6人の共同合宿のような感じだけど、寝る場所は1人1部屋が与えられ、朝晩の食事つき。

大広間に養生シートを貼った共同の作業スペースもあって、絵の具を使ったエスキースなどが汚れを気にすることなくできた。





木の下でたくさんひろったどんぐりの帽子。





朝、7時半から8時半の間に朝食。1月の奈良は底冷えがして、布団2枚重ねているのに寒くて目覚める。でも布団からはなかなか出られない。


昼間のプログラムが組まれている日は明日香村役場の企画政策課の方が車でお迎えにきてくれる。
自由制作の日もあるのでその日はめいめい行動。
ミチモという小型モビリティーカーで村をまわる時もあるし、徒歩でカメラ片手にぶらつく日もある。


夜は18時から19時の間にご飯。幕の内弁当タイプなのだが、揚げ物・焼き魚・お肉・刺身など妙にカロリー高いおかずが勢ぞろいで少々持て余し気味。ビール片手に少しだけ食べて、あとは夜のおつまみに取り分けておく。

食後も制作はできるけど、なんとなくみんなソファに集ってだらだらと飲み始める。長い。
合間に風呂に入りつつ、さらに飲み続ける。アートの話、素材の話、レンアイ話、くだらない話・・・・つまりはよもやま話。


この繰り返しの10日間。



正直しあわせだった。だって作品のことだけ考えていればいいんだもん。
明日から現実。仕事もあるし、家のこともある。
明日香にホームシックになりそうだな。。



差し入れで頂いたワイン(一升!)
大阪のワイナリーでつくられているんだって。美味しかった!

明日香幼稚園での交流会で遊ぶアーティストの東條さん。

私が作った凧。子供たちとの合作です。





☆飛鳥アートヴィレッジ概要はコチラ→http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2014/index.html

☆滞在中のレポートはこのブログです。
その他の栗原亜也子のつぶやきは「kinkyo」blogにて。http://blog.livedoor.jp/

☆栗原亜也子web site→http://ayako-kurihara.tumblr.com





明日香、ふつうのくらし。 ~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~





「古代文化の香り豊かな明日香の郷」

「日本のはじまり」

「悠久ロマンあふれる飛鳥」

・・・・

壮大な代名詞がいくつもならぶ明日香村。でもその間にも村のひとは「ふつうの暮らし」を営み、現代を生きている。
電車や車に乗って会社へ行く。畑で野菜を作り出荷する。村のバスに乗り遅れないようにして学校へ通う。スーパーに買い物へ行き、夕飯の献立を考える。夫婦でお茶を飲みながらテレビでスポーツを見る。公民館のサークル活動に毎週通い、友達とおしゃべりを楽しむ。


そんな村の日常に触れさせてもらえる機会を飛鳥アートヴィレッジ参加アーティストの私達は与えてもらった。


「明日香村民泊体験」。
飛鳥アートヴィレッジの1月21日のプログラムだ。

この企画は飛鳥ニューツーリズム協議会が主催の、 '暮らすように旅する飛鳥' というキャッチコピーで体験交流プログラムと民家ステイを推進していく事業で、実際には修学旅行の学生や海外からの旅行者などを多く受け入れているそうだ。



お昼すぎに参加アーティスト5人と受け入れ先の村民の方々が集まり、入村式。
私は阿部山に住む田中さんのお宅に泊めさせていただくことになった。優しそうな奥様が迎えに来てくださり車でご自宅へ。

ちなみに阿部山はキトラ古墳の近くにある。周辺の集落には「栗原」という地名があることをチェックしていた私、栗原に寄り道してもらいバス停にて記念撮影☆

「栗原」参上! じっさいには「くりわら」と読むらしい。




民泊に登録している家庭は農家さんが結構いるらしいけど田中さんご夫婦はともに元教員で、同じく教員をされている娘さんご家族との二世帯同居というお勤め人のご家庭。へっぴり腰で農業のお手伝いをする覚悟を決めてた私、ちょっぴりホッとした(笑)


でも明日香村で暮らす人は専業農家でなくとも家の畑で野菜を育てたり、高齢化がすすみ管理しきれない田畑を集落の人が協力して農作業をしたりと、食べるものを自分達でつくることが当たり前の習慣になっている。

私も家の畑で大根や白菜を食べる分だけ取らせてもらった。
もちろん新鮮で美味しい!


ワンちゃんのお散歩を兼ねて氏神様にお詣りした後は晩御飯の支度の手伝いをさせていただいた。これならわたしがいつもやっていることとあまり変わらないので、少しはお役に立てそう。。
今晩は息子さんお手製のギョーザ。小学校の後の習い事から帰宅したお孫さんも加わり、和気あいあいのキッチン。
みなさんに私の作品ファイルをみてもらったり、遅くに帰宅されたご主人から飛鳥の歴史のお話を聞いたりと、明るく楽しい時間が過ぎていった。


阿部山集落の氏神様、天満宮。
住人のお当番制で神社を守っているそうだ。

田中さんの奥様と愛犬のクック。
私、大きな犬のお散歩は初体験でした。



可愛い姉妹・やさしいパパとともにギョーザ作り。
「明日香村ギョーザ店」の壮大な計画が建てられた。
えーと、、「キトラ古墳ギョーザ」と「石舞台ギョーザ」がこの中にあります(笑)



そして、当たり前の生活もそこにはある。

娘さんが仕事から帰宅して、ほっとした顔で飲むビール。小学5年生のゆいちゃんがスキー合宿に行くのでお弁当や持ち物の確認。瞳をキラキラさせながら「明日香村の未来のがっこう」の話をする小2のなぎちゃん、早く寝なさいとたしなめられながら2階へママと上がっていく。
次の日は木曜日。息子さんは朝日が昇らないうちに会社へ出かけ、みんな随時朝食をとりながらあわただしく出かけていく。いつもと変わらない朝の風景だろう。



”埋蔵文化の村 明日香”。 しかし紡ぐ日々はどんどん上へ積み重なる。
子供たちは親や祖父母、先生から古代の飛鳥の歴史を教わり、それでも視線はまっすぐ未来へ向かっている。

かつての京は今や過疎化と高齢化が進んでおおきな課題となっている。
しかし村の観光化には賛否両論あり、氾濫した川の護岸工事をするだけで歴史ファンから投書が来るという。インフラの整備と古代ロマンをキープすることのせめぎ合い。



滞在中に村民の方達の生活を垣間見られたことで、考えていた自分の作品プランの背中をぐっと押してもらった気がする。
のこり数日。もう少し明日香の風景を見ていたい気がする。
















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2015年1月23日

流れる日々、埋もれる時間と積み重なる時間。~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~




気がつけば明日香村滞在が今日で7日目!


結構濃密なスケジュールをこなしているけれど、どれも自分にきちんと響いていると思う。
普段子育てや撮影仕事と並行して作品制作をしている私にとって、この10日間は制作に深く没頭し、自分と対峙できる貴重な時間なのだ。





火曜日。
午前中は明日香幼稚園の園児たちと制作交流。可愛い子供達から歌の歓迎を受けた。
しかしこちらから教えることなど何もない。私たちは彼らのパワーに圧倒され、気づけばひたすら工作やお絵描きに夢中になっていた自分の子供時代に戻ってしまっているだけだった。



午後は明日香村で制作を続けておられる陶芸家の脇田宗孝先生の自宅アトリエを訪問、工芸における紋様や素材やその役割が歴史と密接に結びついていることを丁寧に教えていただいた。
「地に足をつける」という表現が脇田先生のたたずまいにぴったりとはまる。
私も自分のこれからを考えなくてはいけない。もうそういう年齢だった!



脇田宗孝先生のアトリエ。
明日香村を眼下に見下ろすことができる。いいところだなあ。

脇田先生。
学生時代ラグビーをやっていたそうで、ラグビーボール型の陶器がお庭においてあった!

3人でパスをしているこのボールはふつうのラグビーボールです。

黒陶釜の脇に積まれた古タイヤ。
これを窯に投げ入れて、やきものの黒色を出すとおっしゃっていた。









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水曜日は高松塚古墳の壁画修理作業室を見学した。
年に2回一般の人に向けて見学の機会を設けているそうで、国の文化財保護のための莫大な予算が私たちの税金でまかなわれていることの「重み」が、古墳から解体して取り出した石壁の重さと同等に感じられ、なぜか少し切ないような気持ちにさせられた。



この高松塚古墳にすぐ隣接している国営飛鳥歴史公園で私達は屋外展示を行うことがきまっている。




脇田先生のお話のなかでさらりと出た、「明日香は埋蔵文化の村だから」という言葉がアタマを離れない。

埋まっているモノが日本の歴史上ハンパなく重要すぎるこの村は、表層にでている「現在」をどう表していくのだろうか。
今わたしたちが、そして明日香の子供たちが築いているふつうの暮らしだっていずれ過去を知る貴重な情報となる。


「なんでもない風景」のなかに詰まっている”何か”を気にしながら、この地にもう少し滞在してみようと思う。





犬飼孝記念館のまえでまったりする。参加アーティスト達









2015年1月21日

” リア感動 ”な日々@明日香村 ~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~




    「春過ぎて夏きにけらし白妙の衣干すてふ天香具山」

あまのかぐやま!
聞きなれた百人一首の、あの歌の山がここだなんてっ‼︎









という ”リアルなモノに出会う感動” が村中にあふれかえっている地域、明日香村。



2007年に初めてふらりとこの地を訪れた時も、同じ驚きがあった。
「太子さんがな、ここで生まれはったんよ」と、まるで親戚の話をするように聖徳太子のことを愛して語る村のおっちゃん。

聖徳太子とは '古い一万円札の人’ くらいの薄い関係性しかない私にとっては日本の歴史の中心にいる明日香村の人々がなんだかうらやましく、開港150年あまりのヨコハマに生まれ育った自分とのリアリティーの重さの違いに、かつても愕然としたのだった。





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滞在3日目。 午前中は明日香村役場企画政策課の木治さんに案内をしてもらった。

飛鳥京と反対側の藤原京までをぐるり見渡せる甘樫丘(あまかしのおか)からスタート。
山々と田畑、少しの住宅とで構成される今の明日香村の風景に古代の宮の情景を重ねあわせる。
掘ればどこでも必ず遺跡が出てきてしまうこの地は、これ以上新しい建物は建てられないのではないだろうか。
歴史を保護することの大切さと未来へのベクトルをどう共存させていくのか。

明日香村役場のアイパッドで昔の飛鳥京の風景がバーチャル体験できる。
今は田んぼばっかりのところがこんなに大規模な都だったなんて!


稲渕の棚田風景

奥明日香の女綱。 
新年の綱掛神事であたらしい女綱と男綱に掛けかえられたばかり。






午後は岡寺の近くにある犬養孝記念館で烏頭尾精(うとおせい)先生のお話を聞いた。
生まれ育った明日香村でずっと日本画を描き続けている先生の柔らかい物腰に、ふんわりと気持ちがほぐれていく。なんだか不思議な感覚。

烏頭尾先生。キトラ古墳の朱雀が発見された際に描いた模写を見せてくださった。




夜は参加アーティスト5名とコーディネーター山中さんとで展示についてのミーティング。
現段階での作品構想をそれぞれ発表し、それにともなう必要な事柄を書き出して明日香村の企画政策課の担当の方に伝えた。

私は「かみさまとあそぶ」をテーマに、明日香村の間伐材を利用して作品をつくることにした。
今度の金曜日に森林組合の方と会って具体的なアドバイスをいただきに行く予定だ。









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2015年1月20日

あすかさんぽ 風景編  ~飛鳥アートビレッジ滞在記~

ふらりとお散歩した風景の写真を掲載します。


飛鳥坐神社。「あすかにいますじんじゃ」と読む。
「座」という漢字の”人”の左側が”口”になっている。これは神様を表しているという。




飛鳥大仏。日本最古の仏像。


説明を追加


橘寺にて。聖徳太子の生まれたところと云われている。

酒船石遺跡の亀型石造物。祭祀を行う空間だったと推測されている。
いわゆるパワースポット。






小山田遺跡の説明会が1月18日に行われた。8000人もの人が訪れた。

川原寺より飛鳥川側を望む。この木の下でひたすらどんぐりを集めていた私・・





飛鳥のかわいい亀石!

天武・持統天皇陵の風景。








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