2015年2月20日

逃げるような2月、逃げてばかりはいられない。



さてそろそろ。
明日に向かって…じゃなかった、明日香村での展示準備に向けて現実的に動かなければならない。

SNSが発達してご無沙汰な友人と「つながった」としても、眼の前に立つリアルな温度湿度とは全くくらべようがない。

「飛鳥アートヴィレッジ」でのレジデンスプログラムからまだひと月も立っていないのにすでにふんわりとした思い出になりそうで、あわててしまう。
まだ展覧会ははじまっていないのに。

明日香村役場の職員さんや民泊でお世話になった方と久しぶりに電話で話し、ようやく体温が戻ってきた感じ。

忙しさにまぎれて逃げるようにすぎる2月、でも逃げてばかりはいられない。


ヨコハマは梅が満開。
明日香はどんな風に迎えてくれるだろうか、来週の今日。







☆飛鳥アートヴィレッジ概要はコチラ→http://www.asukamura.jp/topics/art_village_2014/index.html

☆滞在中のレポートはこのブログです。
その他の栗原亜也子のつぶやきは「kinkyo」blogにて。http://blog.livedoor.jp/

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2015年2月6日

森のひと、畑のひと、そして私。   ~飛鳥アートヴィレッジ滞在記~





気づけば2月…
1月26日に飛鳥アートヴィレッジのレジデンスを終え、生活拠点であるヨコハマに帰ってきた。
そして 「あっ!」という間に俗世間…いやいや、日常のあれやこれやに巻き込まれている。あの夢のような10日間はいったいなんだったのだろう。

否、あれは「夢」だったのではなく単に生活がシンプルだったんじゃなのかな。


朝起きる、飯を食う、制作(仕事)に気持ちを向ける、その目的を果たすための活動、飯を食う、寝る。


自分のやりたいことだけにフォーカスして向き合えるこの幸せ!
余分なしがらみを持たない日々というのは何と快適なことだろう。
生活を何だか複雑にしてしまっていた自分を少し省みたりしている。




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さて、飛鳥アートヴィレッジ滞在記をふたたび。


今回のアーティスト・イン・レジデンスに応募する際の要項で、「おおまかな展示プラン」を考えて記入する箇所があった。屋外展示が基本条件だったので、希望するエリアと現段階の展示イメージを記しておくということであった。レジデンス中にプランが変わることはもちろん前提で。


私は「明日香村の石か木材を使って”Mind Games”を作りたいな〜」と、何となく考えていた。
飛鳥で生まれた作品が、いつかその場に還っていくようなイメージ。


壮大なプランはアタマの中ではいくらでも考えられる。大事なのはその先を具体性を持って仕事を進めることだ。
ちなみに美大の油画出身で、かつ学校をちょくちょくサボッていた私。石材加工のやり方は知らないし、木材の知識もほぼ持っていない。そんなヤツがいきなり素材を扱おうとすれば数々の困難が待ち受けていることは明白である!

…というわけでインターネットで調べた明日香村森林組合に電話し、
「あ、あの〜 こんど明日香村に行くので、チェーンソーで丸太を切ってみたいんですぅ。」
と、素人丸出しで問い合わせてみた。


これはのちに、
「この冬にいきなり女性ひとりで木工加工の体験したいと電話がかかってきたから意味がわからなかった(笑)」
と森林組合の方々に呆れ笑いされたのだけど、飛鳥アートヴィレッジを主催する明日香村役場と森林組合は日頃からしっかりパイプがつながっていて、私の「明日香村の森林間伐材を使って作品を作りたい」という要望に対して役場の企画政策課の方に仲介をしていただき、森林のプロが大変親身に木材調達の相談に乗って下さったのでした。



明日香の山々をバックに森林組合の方々と記念撮影。

「初めてのチェーンソー体験!」
軍手とヘルメット、ゴーグル代わりのサングラスでにわか職人風(でもへっぴり腰)



わたくしがスライスした杉材。予想通り厚みがバラバラ・・・。


私の当初のプランでは「直径30センチくらいで厚み3~4センチの丸太のスライスを250枚用意」だったのだけど、それに対して森林のプロはきちんと現実的にアドヴァイスしてくださった。

・直径30センチ程度の間伐材は実際はそんなにない。 20~25センチくらい。
・3~4センチの厚みでスライスすると、生の木が乾燥する際にクラック(ひび割れ)が入る
・チェーンソー初心者が同じ厚みで250枚カットするなんて至難の業。製材所の機械で加工したほうが効率的。


ふむふむとうなずく私。やはり専門家に聞くのが一番なのだ。
話を聞きながら作品制作のうえで、「できること/無理なこと/ほんとにやりたいこと/別にどっちでもいいこと」を分別していく。

話がまとまり、それでも一度はチェーンソーを体験してみたい!とお願いして山へ連れて行っていただいた。

ところで奈良といえば吉野杉が有名だけど、今の日本で使用されている建築資材は実際は輸入材がほとんどなのだそうだ。(日本中に杉林があるのになんか矛盾・・・。)
需要と供給のバランスが崩れると森は荒れる。荒れないようにするために森林組合が適度に木を伐り森を守っていく。
その間伐材を使って作られた家具や用具は村のいたるところに置かれ、人々の日々の生活に役に立っている。

烏頭尾先生のエクスカーションが行われた犬養万葉記念館。
このテーブルや椅子が森林組合の制作によるもの。

「栗原」バス停!
こちらは森林組合の荒川さんの作品。

木工体験工房。
荒川さんが次々とサンプルを作ってくださった

現在は明日香法によりきびしく景観がまもられている明日香村。派手な外観の建物やネオンサインはほぼ見られないし、お土産物も土地でとれた野菜や米を使ってつくられたものが中心なので、村の産業の印象は正直少し地味・・・かな?

でもそれが私にはとても好感が持てるのだ。

その場所で採れるものを最大限生かすこと。足りないものだけを少し補えばいい。
自分の作品でも今回はそれを大切にしようと考えている。

(しかしながら飛鳥の石舞台古墳はあの巨石をわざわざ二上山から運んできたというのだから、昔のひとってすごすぎる・・・)








■飛鳥アートビレッジ展覧会「彼方(かなた)のうつわ」■

展示:2015年3月6日(金)~15日(日)[10日間]
  • 主催:明日香村
  • 共催:国営飛鳥歴史公園、奈良県立万葉文化館、(一財)明日香村地域振興公社
  • 協力:岡村印刷工業株式会社
  • スペシャルアドバイザー
    • 絹谷 幸二(洋画家 大阪芸術大学教授・東京芸術大学名誉教授)
    • 建畠 晢(京都市立芸術大学理事長・学長)
    • 烏頭尾 精(日本画家 京都教育大学名誉教授)
    • 脇田 宗孝(陶芸家 奈良教育大学名誉教授)
  • プログラム・コーディネーター
     山中 俊広(インディペンデント・キュレーター)


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