作品「Mind games」は、白と黒のドット(水玉模様)で画面を埋め尽くす抽象的な絵画である。
まず、用意した紙に3センチ角のマス目を引く。
白と黒のアクリル絵の具をパレットに出す。(今使っているのは白いジェッソとブラックジェッソ)
絵筆は使わない。消しゴムを丸くくりぬいた特製スタンプが重要な道具である。
パレットの絵の具を消しゴムスタンプにつけ、画面の中心に白と黒のドットが格子に並ぶようスタンプする。これが絵を描く作業の始まりである。
そうしてひたすらマス目の中を白または黒のスタンプをぺたぺたと押していくのだが、ただ感覚に任せて描くのではなくこの絵画はある一定のルールに基づいて描かれることになる。
巷には「オセロ」(または「リバーシ」)というゲームがあるが、そのルールを引用してスタンピングをするのである。「オセロ」は白と黒が裏表になったコマを使う陣取りゲームで、一方の色で他方の色を挟みこんだとき、挟まれた色のコマをひっくり返すことができる。最終的にコマを置くマス目がなくなる、あるいは挟み込むことができなくなった状態でお互いの置かれたコマの数を数え、多い方が陣取りゲームの勝者である。
わたしの作品はコマの代わりにスタンプを使い、挟みこんだ色の上に他方の色を重ねていく。
なのでゲームが進めば進むほど白と黒の絵の具が積み重なっていく。
アクリル絵の具は比較的速乾なのだが、それでも重ねた色が下の色と混ざったりかすれたりしてグレーになってしまうことがある。コマで行うオセロゲームと違い、絵の具でおこなうオセロ・ドローイングは、人の手によるテクスチャーの違いが現われるのだ。
オセロゲームを絵の具でやること・・・その1・・・(終わり)